人はいま置かれた状況から未来を想定しにくいものです。
春や夏に住まいづくりを考える方は、冬の寒さに目が行きにくく、
夏の暑さばかりに着目しがちです。
逆に、秋や冬に住まいづくりを考える方は、
夏の猛暑がなかったかのように、冬の寒さを気にされます。
日本には四季があるように、それぞれの季節に対応し、
その環境に合わせることができる住まいが、いい家の概念と思います。
この例えからも分かるように、今の不満点の改善を求めがちです。
1年を通した住まいは、10年も経てば、人は成長し、そして年老いていきます。
今のことだけでなく、その先も見据えなければなりません。
しかし、60年や80年先まで見据えるということではないと思っています。
人生100年時代になった今の時代ですが、そんなに長く見る必要はないと思います。
個人的には、『30年をどう生きるか』が最重要と思います。
オギャーと生まれ、実家を出たのは何歳の時でしょう。
また、今から30年前の1990年代はどのような時代でしたか。
私たちが知らないバブルと言われる好景気の終焉があり、
トレンディドラマがバンバン流行り、CDも何百万枚とセールスを記録する時代です。
今のように便利なネットやタブレット・スマホもありませんでした。
30年もすると時代は変わっています。
TVの全盛だったのが、YoutubeやNETFLIXへ、
CDがストリーミングへ。
時を経ることによって便利な世の中に変貌を遂げているので、
そこまで先のことを予測することも難しく、
その時に変化できる姿勢が大切なのだと思います。
住宅というハードなものではなく、そこに住むヒトが柔軟さを備えてさえいれば
対応ができる状態が出来ているはず。
なので、私の中では一旦30年という区切りを設け、施主様にご説明しています。
具体的には、
20代から40代の住まいと50代から70代の住まいとでは、
検討する内容も同一ではないように思うのです。
20代から40代の住まいは、子供が産まれ、家族が増えた世代です。
その家族が仲睦まじく住める住まいが幸せと思うのです。
結婚式で流れそうなエピソードの映像。
いい日もそうでない日も、
部活で活躍した日も、挫折を味わった日も。
笑い合った日も親子げんかした日も。
テストで100点満点を取った日も、反抗期で思うように行かない日も。
この30年を振り返って良い家族関係であれば、それは家族にとって、
個人にとって良い思い出となり、家族の絆は30年後に次の世代が生まれた時、
きっと表面化するはずです。
そしてその先もその良好な関係は概ね問題ないと思うのです。
だからこそ、大切にして欲しい30年だとも思っています。
仲良くなる仕掛けが間取りでできるのであれば、
それはプロポーズのサプライズで行われるフラッシュモブ的仕掛けがあるはずです。
少々長くなりすぎましたので、この続きはまた後日!!