そのおうち、何年住むの?

戸建住宅でも、マンションでも
その建物に何年くらい住むかお考えでしょうか。

意外にも、わずか数年先は予想しても
10年先や20年先までは予想されている方も少ないと思います。

私は建築業界に勤めている事で
非常に当たり前な事として考えられますが、
これから検討をされようとしている方や
或いは、既に検討をし始めている方には
是非是非、お考えいただきたい内容です。

購入するときの家族の年齢層やが大きく関係してくるかと思います。

  1. 誕生期
  2. 成長期
  3. 自立期
  4. 熟成期

ザックリですが、4つのジャンルに分類ができます。
つい先日いらっしゃったお客様の事例から、お話しします。

1組目は、20代後半のご夫婦です。
既にお一人お子様がいらっしゃいます。
祖父様がお住まいだった住宅を取り壊し、新築のご計画です。
このケースの場合、ご家族と一緒に住む今の時間を大切にしたいと私は思っています。
子供たちが成長し、その家を巣立つまでを1つ目の山と捉えています。
2つ目の山は、夫婦2人になった時。
しかし、あまりに先のことなので予想すら難しいかもしれません。
子供たちと仲睦まじく暮らせる1つ目の山をターゲットに住まいを作るべきでしょう。
そうすれば、子供たちが所帯持ちになった際、実家に帰ってきて
また楽しいひとときが待っています。
逆にいうと、親子の仲を左右する可能性のある20〜30年です。
幸せな家族写真を撮れる将来であるため、今の時間が大切です。

2組目は、60代前半のご夫婦とお子様2人の4名家族です。
内、お子様がご結婚されることが決まり、3人暮らしです。
このケースの場合、みんな成人しており、大人の住まいと暮らし方となります。
『終の住処』と言われる事も多いですね。

人生100年時代を迎えようとしている今、
残りの人生を快適に過ごしたいという思いから出てくる言葉とも取れます。

不謹慎かもしれませんが、
逝けるなら自宅で、とお考えの方も多いでしょう。
病院での最期より、慣れ親しんだ自宅で最愛の家族に看取られ
旅立ちたいというご意見もかなり伺います。

どうすれば住みやすくなるのか・快適に過ごして頂けるかを必死になって考えます。

『病気にならないための住宅』
ヒートショックを減らす、心臓への負担を減らす提案。
高断熱は当たり前ですが、洗面所やお手洗いへの配慮も。
実は、交通事故で他界される方以上にヒートショックもバカにならない数字です。
業界が率先して対策すれば守れる命です。

『趣味の時間を』
好きな時に、好きなことを。
セカンドライフに入れば、毎日が日曜日みたいなもんだ。
親戚の叔父が言っていました。
やっぱり好きな事をしていると楽しい毎日です。
ご年配の方が優しい顔なのは、余計なストレスがなく楽しまれていると
自ずと笑顔も柔らかくなるものだと思っています。

『将来を見越す』
これは一番難しい課題です。健康面でのことを指しています。
介護用ベッドになっても作業性が失われないベッド配置を考えた部屋のレイアウトや
廊下に後々手すりをつけれるようにしておく下地補強など、
どこまでの配慮を当初からしておくか、
施主様との価値感のすり合わせが必要です。

正直、半身不随まで考えて設計することは不可能に近いです。
なぜなら、どちら側が動きづらくなるかまで考えながら設計すると
手すりや建具、全てのものが設計できません。

やっぱり健康が一番です。そして人生100年時代。
そこに最愛のパートナーや家族がいる限り、
楽しく住める住宅が必要なのです。